円性寺
プロジェクト

円性寺プロジェクト

医王山 円性寺は東京都足立区東和にある、真言宗豊山派の寺院である。本計画は足立区の住宅街の地で江戸時代初期から続く寺院のこれからの活動と展開を支える基盤整備事業として、本堂横での客殿・庫裡新築を核とした水屋棟新築、ランドスケープデザイン更新、本堂の一部改修を一体的に行ったものである。

一期の木造平屋の水屋立て替えに続き、二期目の客殿、庫裏は用途地域として耐火建築物とする必要があったため、構造は鉄筋コンクリート造が妥当性が高いと思われた。また、檀家の方々をお迎えする用途や寺務所としての用途、本堂への動線、住職の住まいとしての用途など、多様なプログラムが連携し合いながら存在する複合用途であることから、それぞれの空間・用途を大事にしながら全体性を生みだすような架構をかけたいと考え、鉄筋コンクリートの折れ屋根が連続する一つながりの大屋根を提案した。
それぞれの用途に切妻の屋根の分節を定め、折れ線位置によって空間の高さが変わっていく。また妻側のスラブの間が開口部となって光が差し込む。これらが一枚の屋根スラブから作られることで、建築全体がおおらかに連なっていく空間を実現した。
植栽はもともとあったツツジを基調とし、対の梅やあじさいなど、様々な場で四季折々の花から季節を感じられる配置にしており、山門から周囲の舗装を石畳にして段差等をなだらかにし、誰もが歩きやすいようにしている。周囲に小学校があることから、こいのぼりポールを設置するなど、四季や文化を伝えられる外構・外観計画を目指した。

photo: FUMITO SUZUKI